介護ロボットの導入状況

急激な高齢化の進行に伴い、要介護高齢者の増加、介護期間の長期化など、介護ニーズは急増しており、また介護職員の腰痛件数が増加するなどの問題があります。

当法人は平成25年度から、介護ロボットを現場に導入し、 ・ ご利用者の方々の安全性の確保、機能訓練効果の向上、ADL改善、QOL向上 ・ 介護者の介護負荷の軽減、介護作業効率化 に努めて来ており、多くの経験とノウハウを蓄積してきました。

※ ADL(Activities of Daily Living):日常生活動作

※ QOL(Quality of Life):ひとりひとりの人生の内容の質や社会的に見た生活の質

介護ロボットは雇用環境改善、特に職員のフィジカルヘルスケアの観点から安全かつ効果的に利用できることを強く意識しながら導入を推進しており、当法人の介護現場を変革しつつあります。

ここでは、現在までに当法人が導入した介護ロボットを、 Ⅰ.介護ロボット Ⅱ.機能訓練(リハビリ)ロボット に分けてご紹介します。

Ⅰ.介護ロボットの紹介

弊社では介護ロボットを下記5分野について配置し、ご利用者及び職員の負担減を目指して取り組んでいます。

1 移乗介助機器 装着型 非装着型
マッスルス-ツ リショ-ネ
2 移動支援機器 スカラモービル
3 見守り支援機器 眠りSCAN
きづきあ-ないと
4 コミュニケ-ションロボット PALRO「パルロ」
Pepper「ペッパーくん」
Paro「パロ」
aibo「アイボ」
5 排泄支援機器 ヘルプパッド2

1. 移乗介助機器

(1)マッスルス-ツ(イノフィス)

介護用動作補助装置です。ベッド⇔車椅子間、浴槽⇔ベッド等の移乗作業時の上げ、下げ動作を空気圧で補助し、介護職員の腰への負担を軽減させる効果があります。補助力は約30kgfで腰への負担を最大約1/3に軽減します。

マッスルスーツの写真マッスルス-ツ

着用時(正面)の写真着用時(正面)

着用時(背面)の写真着用時(背面)

(2)リショ-ネ(パナソニック)

重度要介護者のベッド⇒車イスへの移乗を1人の介護者だけで持ち上げることなく、安全・簡単・スム-ズにできる離床アシストベッドです。電動ケアベッドと電動リクライニング車いすを融合した新たな概念の介護ロボットです。電動ケアベッドの一部が電動リクライニング車いすとして分離することで、介助する側、される側双方に負担をかけることなく、ベッドから車いすへ移乗を安全に行うことが可能です。

電動ケアベッド状態の写真電動ケアベッド状態

車いす分離の写真車いす分離

車いす状態の写真車いす状態

2. 移動支援機器

(1)スカラ-モ-ビル(アルバジャパン)

ご利用者を車いすに乗せたまま階段の昇降ができるように設計された小型・軽量で車への積み込みが簡単にできる電動階段昇降機です。ドイツで開発され、世界13か国の国際特許を取得しています。

昇降での介助者負担を大幅に軽減しています。エレベ-タ-、リフトに比べて低コストです。弊施設では、エレベ-タ-の無い集合住宅にお住まいの方の送迎に利用していただいています。

スカラ-モ-ビルの写真スカラ-モ-ビル

3. 見守り支援機器

(1)きづきあ-ないと kizkia-Knight T/R(三菱電機)

ご利用者の体温データをシルエットに変換するクラウド・サービスで、スマホでライブ映像を確認できるので、ご利用者のストレスにならないような見守りとなる。

転倒などの異状動作を検知したら、介護者が早めの対応ができ、録画もしているので、前後の映像も見れて、原因の分析ができる。

トイレの入退室検知や長時間滞在時間の通知によって、良いタイミングでご利用者への声掛けができるようになる。

kizkia-Knight Tはトイレ用、kizkia-Knight Rは居室用です。


きづきあ-ないと


(2)眠りSCAN(パラマウントベッド)

マットレスの下に敷くだけで睡眠日誌として睡眠・覚醒・離床の表示が可能です。このため、睡眠状態を把握できるため、適切な働きかけができ、効果検証が可能です。

また、ご利用者の状態変化をPC上でアラ-ム確認が出来るので、緊急の対応が可能であるばかりでなく、過去のデ-タからご利用者の特徴を把握できるため、夜間巡回業務にメリハリをつけることができ、スタッフの精神的負担の軽減へつながっています。

眠りSCANの写真
眠りSCAN

睡眠日誌の例(画像)睡眠日誌

4. コミュニケ-ションロボット

PALRO(富士ソフト)の写真

(1)パルロ PALRO(富士ソフト)

老人福祉施設のレクレ-ション現場で活用しています。

ゲ-ム、体操、クイズ、音楽等、この小さな介護ロボットが持つ高齢者レクのレパ-トリ-は多種多様であり、ご利用者にも人気があります。

Pepper(ソフトバンク)の写真

(2)ペッパーくん Pepper(ソフトバンク)

表情と声からその人の感情を察する「感情認識機能」が備わっているだけでなく、独自の感情機能により自ら感情を持ち、行動します。常時ネットワ-クに接続可能のため、インタ-ネット上の様々な情報に自らアクセスして最新のニュ-スや天気などを教えてくれます。

(3)パロ Paro (産総研)

衛生上の理由で、動物を飼うことが難しい人のために開発が進められた。パロと触れあうことで、心理的なストレスを軽減させ、精神的な好作用が期待される。アニマルセラピーと同様の効果が得られるとされる。

パロ

(4)アイボ aibo (ソニー)

アイボは、4足歩行ができ、子犬に似た動作をし、コミュニケーションを介して成長するように設計されている。動作させてその挙動を楽しむために供されるロボットである。


5. 排泄支援機器

(1)ヘルプパッド2(aba)

においで便と尿を検知するので、おむつをとらなくとも、排泄したかが分かる。 マットとシーツの間に敷くだけで、ご利用者は、おむつをつけたまま、ベッドに寝るだけです。

排泄通知があったら、介護者はすぐにオムツ交換ができ、利用者の不快な時間の軽減につながる。

排泄した記録をデータ化、排泄パターンを自動で作成し、適切な排泄ケアのタイミングを分析&表示し、介護者の負担軽減につながる製品となる。

ヘルプパッド2


Ⅱ.機能訓練(リハビリ)ロボットの紹介

機能訓練指導員(理学療法士)が、ご利用者お一人お一人に合わせた機能訓練を提供致します。経験豊富な理学療法士がご利用者の悩みを解消します。それぞれのご利用者の状態を評価し、またニーズを把握したうえで最適なプログラムを提案致します。

本来有している能力を最大限に引き出すことができるよう、お手伝いさせて頂きます。歩行アシスト(Honda)や歩行リハビリ支援Treeなどを使用した歩行練習や、IVES(随意運動介助型電気刺激装置)を使用した上下肢運動など、最新機器を積極的に導入し、一歩進んだリハビリテーションを提供しています。

1. 歩行リハビリ支援ロボット

(1)免荷式リフトPOPO(大和ハウス)

リフト機能で安全に立ち上がり、免荷機能で負担を軽減して歩行できます。転倒するリスクを軽減し、ご利用者、指導員ともに安心して、意欲的に歩行訓練に取り組むことができます。

・ 適用:立ち上がり困難な者の歩行訓練

・ 効果:-油圧力にて下肢筋力補助、免荷作用
-ハネス着用で転倒予防
-指導員の介助負担軽減

免荷式リフトPOPO(大和ハウス)の写真

免荷式リフトPOPO(大和ハウス)の使用例(写真)

免荷式リフトPOPO(大和ハウス)の使用例(写真)

(2)歩行トレーニングロボット(パナソニック)

押して歩くだけで簡単に、一人ひとりに合わせた最適なトレーニングを実現した。

一緒に歩きたくなるデザインで、ご利用者を選ぶだけで、目標やハンドルの高さなどが自動で設定され、また目標設定、時間や距離の変更も可能なので、トレーニングを楽しく続けられます。

軽い運動負荷で無理なく、歩行に有用な筋肉を効率的に鍛えることができます。

運動は全て自動記録、データ管理され、いつでもダウンロード可能となっている。

日々の体調の変化を捉えるだけではなく、科学的な分析により、長期的な変化や習慣化度合いを把握する。これは介護者の負担軽減にもなる。

歩行トレーニングロボット

(3)歩行アシスト(HONDA)

「倒立振子モデル」に基づく効率的な歩行をサポートする歩行訓練機器です。歩行時の股関節の動きを左右のモーターに内蔵された角度センサーで検知し、制御コンピューターがモーターを駆動します。股関節の屈曲による下肢の振り出しの誘導と伸展による下肢の蹴り出しの誘導を行います。

・ 適用:歩行不安定(立位保持可能者)

・ 効果:-股関節角度センサー情報から歩行評価
-制御モーター駆動力により、正確な歩行を誘導及び使用者の学習能力増大

歩行リハビリテーション支援ツールTree(Leaf)の説明(イラスト)

歩行リハビリテーション支援ツールTree(Leaf)の写真

歩行リハビリテーション支援ツールTree(Leaf)の使用例(写真)

2. 随意型介助電気刺激装置

(1)IVES(OG技研)

脳卒中疾患患者及び運動器疾患患者の上下肢リハビリ訓練用です。

・ 適用:脳血管・運動器疾患者
-上下肢治療対象部位への電気刺激により、筋収縮(随意)訓練
-リーチ動作、歩行等の動作能力向上

IVES(OG技研)の写真

IVES(OG技研)の使用例(写真)

IVES(OG技研)の使用例(写真)

(2)下肢用リハビリテーションツール LR2(安川電気)

3大関節(股、膝、足首)の協調動作制御が可能です。

・ 適用:脳血管疾患患者、整体疾患患者の中でリハビリテーションを必要とされる方
運動機能の回復、維持を必要とされる高齢者

・ 効果:関節可動域の維持及び改善、軟部組織の柔軟性改善

下肢用リハビリテーションツール LR2(安川電気)の写真

下肢用リハビリテーションツール LR2(安川電気)の使用例(写真)

下肢用リハビリテーションツール LR2(安川電気)の使用例(写真)

3. その他

(1)エアロバイク2100R

・適用:下肢筋力低下、基礎体力低下者

・ 効果:-下肢筋力向上
-基礎体力向上
-有酸素運動による体重コントロール
-下肢関節可動域改善
-筋収縮/弛緩訓練(歩行に繋がる)

エアロバイク2100Rの写真

▲ページの先頭へ戻る